医師と患者がともに作り上げた、“よりよい治療”を支える新たな道しるべ
がん治療において「栄養」が果たす役割に、いま注目が集まっています。金原出版株式会社はこのたび、日本栄養治療学会の編集協力のもと、『がん患者さんのための栄養治療ガイドライン 2025年版』を発刊。その発刊を記念し、2025年5月14日には厚生労働省会見室にてプレスセミナーが開催されました。
登壇したのは、同ガイドラインの編集・制作に関わった北里大学医学部 外科 上部消化管外科学の比企直樹主任教授と、岡山済生会総合病院 内科・がん化学療法センターの犬飼道雄主任医長。医療現場と患者の声をつなぐ「ペイシェントアドボカシー」の視点から、栄養治療の意義やガイドラインに込めた想いを語りました。

根拠なき“健康情報”に惑わされないために
比企教授は「どの栄養素を、どれだけ摂取すれば、どのような効果があるかという科学的根拠が明確になってきた」と話し、薬物療法や手術に伴う副作用や合併症の軽減にも栄養治療が有効であると解説。曖昧な健康情報が氾濫する現代だからこそ、エビデンスに基づいた栄養知識を届ける重要性を強調しました。
さらに、患者や家族からのアンケートをもとに作成された同ガイドラインには、治療中に実際に感じる悩みや不安が多数反映されています。比企教授は「誰もが安心して使える一冊を目指した」とし、全国のがん診療連携拠点病院などへ合計1172冊を寄贈したことも紹介しました。

“食べられない”悩みに向き合うQ&A形式
一方、犬飼医長は「食べられない」「痩せる」といったがん治療中の悩みの背景には、味覚障害や口腔環境の問題があることを指摘。栄養・口腔・リハビリの3分野から構成されたQ&A形式のガイドラインには、患者とその家族が抱える切実な声に応える内容が詰まっています。
また、抗がん剤治療前の歯科受診の重要性や、有酸素運動による体力低下対策など、医療・栄養・運動を包括的にとらえた提案がなされているのも本書の特長です。「患者さん自身が悩みを医療者に相談するきっかけになれば」と犬飼医長は語ります。

医療を「ともに作る」時代へ
がん治療をよりよいものにするためには、医療者と患者の双方向のコミュニケーションが欠かせません。同ガイドラインは、そうした「ともに考える医療」の第一歩ともいえる存在です。
信頼できる栄養情報を手に入れたい方、あるいはがん治療を支える家族の方にとっても、本書は大きな助けになるはずです。
編集部より
人の人生は、それぞれです。
1分1秒、少しでも、幸せなひと時となることを、願っております。
Leave a comment